東口本宮の境内には、戦国乱世の武将たちが遺した痕跡が今も鮮明に刻まれています。その筆頭が、小山町指定天然記念物にも指定されている信玄桜(しんげんざくら)です。永禄年間、甲斐国の戦国大名・武田信玄が駿河侵攻の際、戦勝と領内安全を祈願して自ら手植えしたと伝えられるフジザクラ(マメザクラ)の巨木です。
厳しい自然環境に耐えるフジザクラとしては類を見ない幹周りを誇り、春には可憐な花を咲かせます。武田家のみならず、小田原北条氏や徳川家康など、東国を治めた歴代の覇者たちも東口本宮に神領を寄進し、軍事・交通の要衝である須走の安定を図りました。
境内奥に進むと、かつて富士講信者たちが奉納した石碑や灯籠が立ち並んでいます。講の指導者の名が刻まれた無数の記念碑は、遠く離れた江戸や北関東の町民たちが、生涯に一度の祈りを託してこの杜を訪れた熱量を物語っています。
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