トマトを切る前に知っておくべきは、果実内部の解剖学的構造です。トマトの内部は複数の部屋(子房室)に分かれており、その中に種と酸味・旨味が凝縮されたゼリー部分が詰まっています。この部屋と部屋を隔てているのが「隔壁」と呼ばれる白い肉厚の筋です。
ヘタをくり抜く作業から調理は始まります。包丁の根元(あご)またはペティナイフの先端を使い、ヘタの周囲に沿って斜め45度に浅く刃先を入れます。トマトをゆっくりと回しながら円を描くように動かすと、果肉を削り落とすことなくヘタの芯だけを綺麗に取り出せます。この下処理を丁寧に行うだけで、その後のカット作業の安定感が格段に向上します。
果汁がまな板にこぼれる原因は、部屋の真ん中を刃で直接切断してしまうからです。ヘタを取ったあとの上部、あるいは底部を観察すると、放射状に走るわずかなくぼみが見えます。このくぼみの上こそが隔壁の位置です。くぼみを目印にして包丁を入れると、ゼリー室を傷つけずに果肉部分で切り分けることが可能になります。
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