伊勢ヶ濱部屋のホープとして初土俵を踏んで以来、破竹の快進撃を続けてきた旭富士。第63代横綱・旭富士(現・伊勢ヶ濱親方)の四股名をそのまま継承したこの若武者は、初土俵から所要わずか6場所という、昭和以降の歴代最速タイ記録で新十両の座を射止めました。しかし、昇進決定後に開かれた共同記者会見の場に、満面の笑みはありませんでした。
「相撲内容は全然ダメ。前に出る相撲ができていない」と、会見場で本人が吐露した言葉の裏には、過酷な現実が隠されていました。実は場所前の激しい稽古によって肋骨を骨折しており、呼吸をするだけでも激痛が走る極限状態の中で本場所の7番を戦い抜いていたのです。万全とは程遠いコンディションでありながら、四つ身の技術と土俵際での執念で白星を拾い集めた精神力こそが、この男の真骨頂でした。偉大な横綱の名を背負うプレッシャーを跳ね除け、痛みに耐えて勝ち取った関取の座は、数字以上の重みを帯びています。
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