映画公開後、吉高由里子の体当たり演技は映画賞レースを席巻した。第32回日本アカデミー賞新人俳優賞、第51回ブルーリボン賞新人賞、第18回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。スキャンダラスな題材に怯むことなく、人間の業を表現しきった19歳の新星に、批評家も観客も惜しみない賛辞を送った。
しかし、彼女の真価はそこからのキャリア構築にある。多くの若手女優が過激な役柄のイメージに束縛されて消耗していく中、吉高は持ち前のユーモアと天真爛漫なキャラクターを武器に、テレビドラマの最前線へ進出していった。2014年のNHK連続テレビ小説『花子とアン』での好演、そして2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』における紫式部(まひろ)役での主演である。
平安の世に生き、情熱と知性をペンに託した紫式部。その複雑な内面表現の深層には、19歳の時に経験したICUの孤独と、『蛇にピアス』で己の肉体を差し出して獲得した「人間の光と影を見つめる冷徹な眼差し」が、確かに息づいている。
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