関西の弁当業界を語る上で避けて通れないのが、2008年5月に起きた前代未聞のチェーン分裂劇です。当時、ほっかほっか亭の東日本や九州地区を統括していたプレナスがフランチャイズ契約を解除し、「ほっともっと(Hotto Motto)」を立ち上げました。全国の約2,000店舗が一夜にしてブランドを鞍替えする激震が走るなか、関西地区の運営母体であったハークスレイは「ほっかほっか亭」の看板を守り抜きました。
この歴史的背景こそが、現在の兵庫県における店舗密度の差に直結しています。九州発祥のプレナスが展開するほっともっとは東日本や西日本の一部で圧倒的なシェアを獲得した一方、兵庫県店舗においては、ほっかほっか亭が築き上げた強固な地盤を崩し切れていません。阪神間の住宅街から工業地帯の幹線道路沿いまで、生活動線に深く入り込んでいるのは現在もほっかほっか亭です。
味付けの哲学にも明確な相違が見られます。ほっともっとが全国均一の万人受けするタレや濃いめの味付けを志向するのに対し、関西地盤のほっかほっか亭は出汁の風味を効かせた調声を重視しています。毎日のランチとして選ばれる「日替わり弁当」の煮物やタレひとつを取っても、関西人の舌になじむ醤油の選定とだしの引き方が徹底されています。
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