元ネタとして真っ先に名前が挙がるのが、少女漫画史の金字塔である萩尾望都の『ポーの一族』です。しかし、作中でバンパネラ(吸血鬼)たちが人間や自らの同胞を指して「愚かな一族」と直接吐き捨てる有名な決め台詞があるわけではありません。永遠の時を生きる一族の孤独と美学、そして人間社会の儚さを描いたストーリー文脈が、後世のパロディ作品によって「高慢な一族」というイメージへと単純化され、言葉の断片だけが独り歩きした経緯があります。
さらに混同を深めたのが、世界的人気作『NARUTO -ナルト-』における「うちは一族」の描写です。作中でうちはイタチが弟のサスケに向けて放った「愚かなる弟よ……」というあまりにも有名な名言や、クーデターを企て自滅へと向かったうちは一族の過酷な歴史が読者の脳内で結びつきました。「一族の誇り」に固執するあまり破滅していく一族と、「愚かなる弟」というパンチラインがインターネットの掲示板文化の中でマッシュアップされ、「愚かな一族」という構図が強烈に定着したのです。
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