オープン直後の午前9時、直売所フロアには軽トラックで乗りつけた地元農家が次々と野菜を運び込みます。棚に並ぶのは、露地栽培のホウレンソウ、朝採れのタケノコ、肉厚な原木シイタケ、色鮮やかな柑橘類。驚くべきはその鮮度と価格設定です。中間マージンを最小限に抑えた直売形式のため、都内の高級スーパーに並ぶような高品質な有機野菜が、100円〜250円前後の手頃な価格で手に入ります。
なかでも来訪者の目当てとなっているのが「長狭米(ながさまい)」です。長狭地域は、嶺岡山系からの重粘土質な土壌と清らかな湧き水に恵まれ、明治天皇の即位の礼「大嘗祭」の主基(すき)田にも選ばれた歴史を持つ名米の産地。冷めても甘みともっちり感が損なわれないコシヒカリで、一般市場には流通量が少なく「幻の米」とも称されます。
直売フロアでは、長狭米の玄米をその場で好みの歩合に精米してくれるサービスを提供しています。1kg単位で購入できるため、観光の途中に数種類の精米度合いを試す目的で購入していく愛好家が後を絶ちません。生産者一人ひとりの顔写真とこだわりがポップに明記されており、誰がどのように育てたかが可視化されています。
Tags: