高尾山トリックアート美術館がオープンしたのは1990年代半ばのことでした。当時の高尾山は、2007年にミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三ツ星を獲得する前の時代であり、現在ほど国際的な観光客が集まる環境ではありませんでした。その麓で「人間の錯視(目の錯覚)を利用した新しいエンターテインメント」を掲げて創業した同館は、登山目的以外のファミリー層や若年層を呼び込む起爆剤として機能しました。
八王子市内の文化施設を定点観測してきた地元記者は次のように指摘します。「高尾山口駅を降りて橋を渡る手前にそびえるあの建物は、高尾観光のひとつのランドマークでした。30年間にわたり世代を超えて親しまれた施設が姿を消すことは、八王子観光のひとつの時代の転換点を意味しています」。SNSが普及した2010年代以降は「元祖・映えスポット」として再評価され、InstagramやTikTokの普及とともにデジタルネイティブ世代の来館が急増した矢先の幕引きとなります。
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