プリンセス プリンセスの『M』が辿った歴史は、音楽における真のマスターピースが、作り手の作為や商業的なタイアップの規模だけで決まるものではないことを雄弁に物語っています。もし、当時のスタッフが売れ線ばかりを意識して富田京子の歌詞を没にしていたら、あるいは奥居香がゴミ箱のメモを見過ごしていたら、平成を代表するこの失恋バラードは地上に存在していませんでした。
ひとりの女性が流した本物の涙と、それを掬い上げたバンドメンバーの絆。そして、A面の『Diamonds』という時代の熱狂に隠れるようにして届けられたB面の切なさは、時を超えていまも私たちの心に寄り添い続けています。プレイリストで簡単に音楽をスキップできる令和の時代だからこそ、『M』のアドレスに込められた消せない想いは、より一層の切実さをもって響き続けるはずです。
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