市比賣神社の歴史的な原点は、桓武天皇が平安京を造営した際、官営の市場であった「東市(ひがしのいち)」の守護神として祀らせたことに遡ります。当時は商取引の正当性や尺度の基準を守護する神として、朝廷直轄の厚い崇敬を受けていました。
最大の特徴は、祀られている主祭神の五神すべてが女神であるという点です。
- 多紀理比売命(たぎりひめのみこと)
- 市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)
- 多岐都比売命(たぎつひめのみこと)
- 神大市比売命(かむおおいちひめのみこと)
- 木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)
宗像三女神として知られる航海や交通・商いの神々に加え、市場と農耕の女神である神大市比売命、美と安産の象徴である木花開耶姫命が集結しています。この祭神構成により、中世以降は歴代の皇后や皇女が誕生した際の産湯に用いられる神水を献上するなど、皇室の女性たちとの深い結びつきが形成されました。それが転じ、今日では全国でも極めて珍しい「女性守護」「女人厄除け」の専門社として信仰を集めるに至っています。
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