「子どもの病気」と侮られがちな手足口病ですが、免疫を持たない成人が家庭内で罹患すると、小児よりもはるかに過酷な臨床経過をたどることが知られています。
大人の手足口病は、39度を超える悪寒戦慄を伴う高熱で発症することが多く、手足に出現する水疱性発疹は深い真皮層に達するため、耐え難い電撃痛を伴います。手のひらの水疱によってペンの把持やスマートフォンの操作が激痛で不可能になり、足の裏の無数の発疹によって「針山の上を歩いているようで一歩も歩行できない」という重篤なADL(日常生活動作)低下を強いられるケースが頻発します。
家庭内での二次感染を阻止するためには、以下のウイル特性を踏まえた厳格な感染防御策が不可欠です。
- アルコール消毒過信の排除: エンテロウイルスは脂質二重膜を持たない「ノンエンベロープウイルス」であり、一般的なエタノール消毒薬に対する抵抗性が極めて高い特徴があります。環境消毒には次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を0.02〜0.05%に希釈したもの)を使用するか、流水と石けんによる入念な物理的もみ洗い(30秒以上)を徹底してください。
- オムツ交換時の厳密な封じ込め: 手足口病のウイルスは、症状が消失した後も2〜4週間にわたって便中に排泄され続けます。「治ったから安心」ではなく、回復後1カ月間はオムツ交換時に使い捨て手袋とマスクを着用し、汚物はビニール袋に密閉して廃棄してください。
- タオルの共用厳禁と入浴順序の配慮: 家族間でのタオルの共用は即座に取りやめ、ペーパータオルへ切り替えます。入浴時は感染している子どもを最後に入浴させ、浴槽の残り湯を洗濯に再利用することは避けてください。
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