2011年、アルバム『アンハッピーリフレイン』をリリースした直後、wowakaはボーカロイドシーンの第一線から忽然と姿を消しました。当時のニコニコ動画は、ミリオン再生を記録する大ヒット曲が連発される一方で、商業化の波とクリエイター同士の過激な競争が渦巻いていました。「自分の音楽」ではなく「初音ミクのキャラクター」ばかりが消費されていく現実に、彼は深い孤独と摩耗感を覚えていたと述懐しています。
その彼がマイクを握り、生身の人間として立ち上げたバンドがヒトリエでした。同期音源に頼らず、生々しいバンドサウンドで自らの喉を震わせるライブ活動を積み重ねること6年。2017年、初音ミク生誕10周年記念コンピレーションアルバム『Re:Start』の制作オファーが舞い込みます。同作の参加依頼を受けたとき、wowakaは「今の自分なら、ミクに対して嘘偽りのない曲が作れる」と確信し、再びDAW(音楽制作ソフト)を立ち上げました。逃避でもノスタルジーでもなく、自らの原点と対峙する戦いがここから始まったのです。
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