地上波放送において、出演者を決定する最終的な権限を持っているのはプロデューサーではない。番組枠を買い取る企業スポンサーだ。
現代の企業広報において、ESG投資やコンプライアンス遵守は企業価値を左右する最重要事項である。女性スキャンダルやハラスメントで世論の反感を買っているタレントを起用した番組にCMを出稿することは、企業にとって直接的な不買運動やブランド毀損のリスクを意味する。民放キー局の編成関係者が「どれだけ実力がある芸人であっても、スポンサーから名指しでNGが出れば1秒も映すことはできない」と語る所以だ。
この結果、地上波でのテレビ復帰を絶たれた芸人たちは、ABEMAなどのネット配信プラットフォームやYouTube、DMM TVといった有料動画サービスへ活路を見出す。そこでは「地上波では見られない過激な本音」「世間から追放された男の悲哀」が一定の有料会員を引きつけるキラーコンテンツとなる。
だが、それはマス層への復権を意味しない。見たい人間だけが能動的にお金を払ってアクセスする「タコツボ化」された空間での延命に過ぎず、世論調査における嫌われ度合いが下がるわけではないのだ。
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