桃を食べ終えた後に残るゴツゴツとした硬い塊は、植物学的には「種子」そのものではなく、子房の内壁が木質化した「内果皮(硬核)」です。本物の種子は、その頑丈な殻の内部に鎮座するアーモンドのような形をした「仁(じん)」と呼ばれる部分にあります。
野生の桃において、この強固な殻は動物の消化液から遺伝子を守り、適切な季節が巡ってくるまで中身を保護する役割を果たしています。さらに桃の種には、冬の厳しい寒さを一定期間経験しないと発芽スイッチが入らない「生理的休眠(種子休眠)」という防衛本能が組み込まれています。もし夏や秋の暖かい時期に発芽してしまえば、続く冬の寒冷環境で幼苗が枯死してしまうからです。
したがって、食べた種から確実に芽吹かせるためには、人間が手作業で殻を取り除き、人工的に冬の寒冷環境を再現してやるプロセスが決定打となります。
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