豪華客船編のクライマックスにおいて、船の沈没に伴う激闘の最中、アンダーテイカーの腰からこぼれ落ちシエルの手に渡ったのが、複数個のモーニング・ジュエリー(喪の装身具)で構成された「遺髪入れのチェーン」でした。普段は不気味な笑みを絶やさない彼が、この遺髪入れを奪われた瞬間、冷徹な殺気と焦燥を露わにして「それは小生の宝物なんだ。絶対に失くさないでおくれよ」と言い放ちます。
チェーンに繋がれていたロケットの一つには、シエルの祖母にあたるクローディア・ファントムハイヴ(Claudia Phantomhive)の名と、彼女の生没年(1829, 1866年)が刻まれていました。享年36歳で亡くなったクローディアの遺髪を、神の理から外れた元死神が数十年にわたり肌身離さず身につけ続けているという事実は、彼らの関係が単なる知人関係の域を遥かに超えている決定的な証拠です。
ファンの間では、クローディアの夫であるセドリック・ブランド卿との関係性のみならず、「アンダーテイカーこそがシエルの真の祖父、あるいは父親ヴィンセントの直接の血縁者ではないか」という仮説が根強く議論されています。いずれにせよ、彼がファントムハイヴ家に向ける視線は、冷酷な観察者ではなく、特定の個人に対する消し去れない愛情と痛恨の悔恨に満ちています。
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