パスタと中華麺の原材料は、本質的に極めて近い構成を持っています。どちらも主原料は小麦粉と水、塩です。決定的な違いはただ一点、中華麺の製造に不可欠とされるアルカリ塩水溶液「かんすい(炭酸カリウムや炭酸ナトリウム)」の有無にあります。かんすいが小麦粉中のタンパク質であるグルテニンとグリアジンに作用すると、網目構造が強固に引き締められ、特有の力強い弾力と歯切れが生まれます。さらに、小麦に含まれる無色のフラボノイド色素がアルカリ条件下で淡黄色へと発色し、あの独特の香気成分を放つのです。
スーパーで手軽に入手できる重曹(炭酸水素ナトリウム)は、弱アルカリ性の性質を持ちます。沸騰した湯に重曹を投入すると、熱分解によって二酸化炭素を放出しながら炭酸ナトリウムへと変化し、pH値が上昇します。このアルカリ性の熱湯でデュラムセモリナ粉主体のパスタを茹で上げることで、擬似的に「かんすいで捏ねられた生地」と同じ化学変化を外側から強制的に引き起こすわけです。かんすい代用としての重曹は、単なる気休めの裏技ではなく、食品化学の理にかなった変身プロセスといえます。
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