角煮作りにおいて失敗が多発するもう一つの理由は、熱源や機器による動作気圧のギャップを考慮していない点にある。ガス火にかける従来型の高圧・超高圧鍋と、近年の家庭で普及している電気圧力鍋では、内部の動作気圧(kPa)と温度帯が大きく異なる。レシピ本に書かれた「加圧時間20分」を電気圧力鍋でそのまま適用すると加熱不足になり、逆に高圧のガス火鍋で電気圧力鍋の設定時間を真似れば肉がスカスカに干からびる。
| 器具タイプ | 作動圧力 (基準値) | 下茹での加圧時間 | 本煮込み加圧時間 | 減圧待機時間 |
|---|---|---|---|---|
| ガス火式(普通圧) | 約70, 80 kPa | 25, 30 分 | 12, 15 分 | 完全自然減圧(約15, 20分) |
| ガス火式(超高圧) | 約130, 146 kPa | 15, 18 分 | 8, 10 分 | 完全自然減圧(約20, 25分) |
| 一般的な電気圧力鍋 | 約55, 70 kPa | 35, 45 分 | 15, 20 分 | ピンが自然降下するまで待機 |
どの器具を使用する場合であっても、絶対に破ってはならない鉄則が自然減圧である。安全弁のピンが自重で静かに降りるまで蓋を開けてはならない。ピンが下がるまでの約15〜25分間は、鍋の余熱を利用して肉の芯まで穏やかに熱を通し、ゼラチン質の再吸着を促す「第二の調理時間」として機能しているからだ。
Tags: